南幌スカイスポーツ航空協会 実技訓練テキスト

[1] 基本知識
 (1) 飛行機の操縦とは
  定められた緒元に基づいて飛行機をコントロールすることです。
  飛行機のコントロールとは、姿勢と推力をコントロールすることです。
 (2) 主な用語について
  よく使われる主な用語を収得しよう。
  ステック 操縦桿 ランウエイ 滑走路
  スロットル 車のアクセルに相当 センターライン ランウエイ中心線
  ラダー 方向舵 キープ 守る
  エレベーター 昇降舵 メインテイン 維持する
  エルロン 補助翼 ホールド 保持する 待機する
  プロペラ プロペラ スタンバイ 待つ 待て
  クリヤー 問題なく安全なこと ゴーアラウンド 着陸復航
  トラフィックパターン 場周経路 テイクオフ 離陸
  ノーズアップ 機首上げ ランディング 着陸
  ノーズダウン 機首下げ ストール 失速
  レベル 水平
  ウイングロー 風上に翼を傾けてアプローチする
 (3) トラフィックパターン
  基本的な飛行はトラフィックパターンで収得する。
  アップウインドレグ 離陸して第1旋回に至るまでの、向かい風で上昇する部分。
  クロスウインドレグ 第1旋回を終わって第2旋回に至るまでの横風のコース。
  ダウンウインドレグ 第2旋回を終わって第3旋回に至るまでの追い風のコース ランウエイに平行となる。
  ベースレグ 第3旋回を終わって第4旋回に至るまでの着陸のためのコース。
  ファイナルアプローチ 第4旋回から着陸までをいう。
  レフトパターン
左旋回しながらパターンを飛行する経路
  ライトパターン 右旋回しながらパターンを飛行する経路


[2] 機体点検
  安全飛行をするためには、飛行前、飛行後の機体点検は不可欠です。
  フライト毎に点検リストに従って点検を行ってからトレーニングを行います。
 (1) 点検順序

 (2) 点検項目
  1、機体全体の状態、変形の有無 24、燃料パイプ、フイルターコックの状態
  2、座席、シートベルトの取り付け状態 25、燃料の残量
  3、操縦系統のケーブル、ロット、取り付け状態 26、エンジンマウント及びエンジン取り付け
  4、操縦系統はスムーズに動くか 27、エンジンマウントの防振ゴム
  5、各車輪の状態、着陸装置の状態 28、排気ガスケットからの漏れ
  6、胴体フレーム、キングポストの状態 29、ベルトの状態
  7、右主翼の破れ 30、プロペラの取り付けと状態
  8、右主翼のメイン、サブパイプ、バテンの状態 31、エアクリーナーの取り付けと目詰まり
  9、右主翼の取り付け部の状態 32、スロットワイヤー、キャブレターの状態
  10、右主翼のワイヤーの状態 33、マフラーブラケット及び取り付けの緩み
  11、右主翼のエルロンが正しく動くか 34、点火プラグのやけ状態、プラグキャップ
  12、後部胴体のフレームの状態 35、エンジン全体の状態
  13、水平尾翼の取り付け状態 36、車輪及びブレーキ等着陸装置の状態
  14、エレベーターが正しく動くか 37、タイヤの空気圧
  15、垂直尾翼の取り付け状態 38、高度計の状態
  16、ラダーは正しく動くか 39、速度計の状態
  17、エレベーター、ラダーは正しく接合されているか 40、回転計の状態
  18、左主翼の破れ 41、温度計の状態
  19、左主翼のメイン、サブパイプ、バテンの状態 42、エンジン始動の状態
  20、左主翼の取り付け部の状態 43、その他
  21、左主翼のワイヤーの状態
  22、左主翼のエルロンが正しく動くか
  23、燃料タンク取り付けキャップの状態
[3] タキシング(地上滑走)
 (1) スターテングエンジン(エンジン始動)
  1、スイッチOFFとブレーキの確認
  2、シートベルトを締める
  3、インコム、無線機電源ON
  4、スロットルを1度フル、戻して心持上げる
  5、プロペラ周辺及びオールサイドに人、障害物が無いか確認
  6、燃料バルブON (燃料確認)
  7、スイッチON
  8、チョークON
  9、リコイルスターターを少し引き引っかかりを確認して強く引く
  10、エンジン始動確認
  11、エンジン計器チェック
 (2) タクシー(地上滑走)
  1、シートベルト、無線機チェック
  2、コントロールフリー、動作チェック(操縦系統とブレーキ)
  3、タクシーウエイ(滑走路)のクリヤーチェック
  4、スロットルをゆっくりと少し前に押し、ゆっくりタクシー開始 (駆け足程度の速度)
  5、操縦桿は中立より少し前にに押す
  6、ラダーペダルで直進 
  7、エルロンで(操縦桿で)主翼を水平に保つ
  8、スピードのコントロールはスロットルで行う(急な操作は行わない)
 (3) ノーズ上げ
  1、ランウエイのクリヤーチェック
  2、ランウエイに沿って正確に直進
  3、操縦桿は中立に
  4、スロットルをゆっくり前に押す
  5、速度計確認 (20〜23マイルをキープする)
  6、操縦桿を中立からゆっくり手前に引く
  7、ふわっと前が浮いて方向保持はラダーに変わる(タイヤとラダーの違いを収得する)
  8、方向保持 (ラダーはタイムリーに使う)主翼の傾きはエルロンで修正する
  9、スロットルをアイドルにする
  10、操縦桿を中立に戻す。

[4] パターンフライト(場周飛行)
 (1) テイクオフ(離陸)
  1、ランウエイ、トラフィック、クリアーチェック
  2、滑走路直進確認
  3、スロットルをゆっくりとフルパワー(全開)に、 回転数6000rpm以上を確認
  4、エアスピード35マイルを確認
  5、35マイルで操縦桿を引く (機体が浮き地上から離れる)
  6、エアスピード40マイルをキープして上昇 上昇姿勢にノーズを合わせて姿勢維持
  7、姿勢と速度計を交互にチェック
  8、目標に向かって直進上昇 エアスピード42マイルを維持
  9、高度確認、300フイートでファーストターン(第1旋回)に入る
 (2) ファーストターン(第1旋回)
  1、300フイートに達したら 旋回方向(90度目標確認)左右の確認
  2、上昇姿勢のままラダーを左(右)によっくり踏むと同時に操縦桿を左(右)に倒す
    操縦桿は必要バンクで少し戻す(あて舵)、 42マイルキープ、バンク角は10〜15度 ラダーは踏み込み過ぎない
  3、90度旋回終了少し前でラダーと操縦桿を元に戻し中立にする
  4、レベルオフ(機体水平維持)と水平飛行、この時スロットルを5800rpmまで戻す
  5、次の目標に向かって直進高度確保に向け上昇する
  6、高度450フイートに達したら、操縦桿を少し前に押して水平姿勢に入る
  7、スピード45マイルチェック、スロットルをゆっくり絞り回転5500rpmとする
  8、高度確保、方向保持、スピード45マイル保持
 (3) 第2旋回 (水平旋回)
  1、レフト、ライト、クリヤー確認 目標は滑走路との平行延長
  2、水平姿勢の維持、左(右)ラダーを踏み同時に操縦桿を左(右)に倒しバンク角が深く成りすぎないよう
    当て舵をする バンク角15〜20度
  3、90度旋回 滑走路と平行したら ラダー操縦桿共に中立に戻す 高度450フイート維持
 (4) ベースターン (第3旋回 降下旋回)
  1、水平姿勢から僅かにノーズダウン スロットル絞る 速度45マイルキープ
  2、姿勢をキープしながら左右クリアー確認
  3、左(右)へ降下旋回 バンク角深くなり過ぎない様注意 バンク15〜20度 速度45マイルキープ 
  4、90度旋回(滑走路に直角)したら ラダー、エルロン共に中立に戻す 
  5、高度350マイルまで降下
 (5) ファイナルターン (第4旋回 降下旋回)
  1、ファイナルアプローチ ファイナルクリアーチェック
  2、左(右)へ降下旋回開始 バンク角深くなり過ぎぬよう注意 20〜30度
  3、速度45マイルキープ 延長線上の滑走路に正対して旋回終了
  4、高度300フイート、速度45マイル、滑走路正対確認
 (6) ファイナルアプローチ (最終進入)
  1、降下姿勢キープ、速度45マイル維持 降下姿勢の目安に注意
  2、進入角調整、高低はパワーコントロールで行う、速度45マイル絶対キープ
  3、センターラインキープ、姿勢、速度維持
    軸線より機体がずれた場合は、早めにエルロンで主翼を傾け機体を滑らせ軸線に合わせる
    横風で流されるときは、主翼を風上側に傾け流されないようにする
 (7) ショートアプローチ (高度5mから着地操作まで)
  1、高度5mでノーズ(機首)を降下姿勢から僅かにアップする ゆっくりとパワーを絞り始める
  2、主翼水平が傾かないように特に注意
  3、高度1,5m位から機体の沈みに合わせて操縦桿をゆっくり手前に引きノーズを上げる
  4、高度0,5mでパワーOFF(アイドル)、 失速と同時に着地する
 [5] トラフィックパターン(上周飛行)図解


  1、姿勢制御及びバンク当でエルロンを操作した場合は必ず当て舵をする
  2、旋回あるいは傾きを戻すときは、エルロンの使用のみならずラダーも使用する
  3、失速は、仰角を取りすぎた場合に起こる テイクオフ時の仰角に注意
  4、ファイナルアプローチでは、スロットルを少し絞り、ノーズを下げて速度45マイルを確保する
  5、最低安全高度は450フイート(150m)である 常にこの高度を確保する
  6、エンジンストップ時、滑空して着陸出来るよう常に着陸場所を確認して飛行する
  7、エンジンストップ時は、失速しないよう操縦桿を押してノーズを下げ速度40マイル以上を確保する
  8、クイックシルバー503のVS(失速速度)は35マイルVN(超過禁止速度)は70マイルである